なれそめ

 そもそも、その娘に初めて会ったのは大学のサークル専用のプレハブの建物の一室、つまりはサークル(文芸誌編集部という変わったサークル)の部室だった。
 彼女らは自らの先輩に当たる私の友人に会いに、わざわざ電車に乗って大学に遊びにきていたのだ。
 春先の、大学に入学して暫らく過ぎた夏休みの出来事で、一ヶ月に一度の編集作業(ようは〆切)に間に合うように原稿を持ってきた私は部室の扉を無造作に開け、そして彼女らと対面した。
 実際のところ彼女達は大学に興味があったのではなく、あこがれの先輩の「彼氏」に会いに来ていたようであるが*1そんなことを当時の私が知るはずも無く、仕方無しに私は彼女らに大学がどんなところか説明した。
 そこで、私は双子のうちの一人、妹のB(無論仮名)と親しくなったのである。
 後はアドレス交換に始まり、近況をメールでやり取りすること云ヶ月、何時の間にか私は周りに彼女のことが好きだと思われるようになっていた。

*1: 当時、その友人(女性)と私は極めて微妙な間柄だった。それは私が彼女に告白したせいであり、「色々あって、今は付き合うとかそういうことを考えたくない」と言った彼女が舌の根も乾かぬうちに私の男友達と付き合い始めたことが原因である。