サイバーパンク

 未来社会を舞台にした物語のジャンルの一つ、サイバーパンク。その中でよく出てくる単語の一つに、スラム街というのがある。
 高度に成長を遂げた技術と、それによって複雑化した人間社会の生み出す歪み。人権を無視される最下級の人種が集まって生まれるごみ溜め。
 これらの場所に住む人間の多くは犯罪者であり、粗野で下品なつま弾き者である。ドラッグを当たり前のように所持し、使用し、どこもかしこも病んでいる。
 彼らには国籍が無く、はしたがねで命を捨てられる。
 豊かで平和な未来社会を構築する側らそんな街が生まれる、と想像してしまうのは、人が自ら達の限界を知っているからなのだろうか。少なくとも、これらの街に住む人間には明るい未来は提示されない訳である。
 サイバーパンクのヒーローは、そんな薄汚れた街にで暮らす探偵とか、小悪党とか、上流階級に位置しながら罠に嵌められて落ちぶれた奴などだ。基本的に彼らには用意されていたとしても借金、犯罪経歴、過去の栄光、何もかも色あせた夢の欠片だ。
 正義は二の次で、目的は自分の生活を守る事であろう。