無職透明

 17万あれば一年暮らせると豪語する友人とおそらくは最後になるであろう歓談をする。彼も今年卒業したばかりの社会人で、現在ハローワークで職探しの最中だから、おそらく私が青森に帰ってくる頃にはもう独立しているだろうから。しかし、休学届を出すついでにたずねてみるとせんべい布団の中から這い出してきて、「ああ、今何時?あ〜そんな時間か」とかいうしまつ。予定は未定、とかいうあたりそれはプー太郎っていうんじゃないかなぁ、というと「お前にだけは言われたくはない」とかえされる。
 いや、しかし、アルバイトさえしないというのはどうかと思うぞ、実際。生活費どうしているんだろうか。
 そんなだめだめな二人で「無職透明な」空気のなかカップラーメンを啜りつつこれからの予定を考える。ああ、しかし、お互いに「相手が女だったらもう少し気合を入れて生きてるんだがなぁ」といった趣旨のことは話さない。いつものように格闘ゲームをしたり、アニメを見たり、だらだら流れているテレフォンショッピングでやっていた自然的化学運動講師(アバウトな当て字)を購入するかいなかを検討したり。
 次に会うのはどんなに早くても半年後だな、というと「その頃にはもっとリッチな生活をしていることだろう」と彼は豪語した。笑いながら想像してみたが、私には彼があいも変わらずせんべい布団から這い出してくる姿しか想像できない。
 長編シリーズ物のアニメ*1をラストまでみせてから、「これ、この後に続きも作ってるんだぜ?」といっていたのは彼なりの不器用な気遣いなのだろうと勝手に思った。
 なぜだろう、来年もあそこでああして談笑できることを私は確信している。無論いい意味で、だ。

2005年4月6日水曜日 やはり何も持たずに電車に乗ると少し感傷的になると思いつつ
                                     虫食いパン  

*1:星海の紋章